
2008 Herbst -
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モリアーティ.大好きなモリアーティ.なんて魅力的な.
最後の,モリアーティの笑み,の意味合いがわからなくて,つらつらと考えていた.
モリアーティとシャーロックは,互いに似ていると思っている.
似ているところはどこだろう.
頭の回転の良さ,プライドの高さ,日常に退屈してゲームをしたがっているところ.
社会生活をうまく送ることなんかに,なんの興味もないところ.
でも,私には,全然違うようにも見える.
1.
モリアーティは,大切なもの,守るべきものを持たない.
いつも,捨身なのだ.ただ続いていくだけの人生に退屈し切っている.
だから,自分の物語を完璧にする為に死ぬことを躊躇わない.
本当かフェイクか,社会からどうみられるか,なんてことも,
彼にとってはどうだっていいことだ.
大切なものがないからこそ,より日常に退屈してしまっているともいえる.
2.
さらに,モリアーティは,人心がどう動くものかよく知っている.
つまり,人間に旺盛な興味があるのだ.
そしてそれをゲームに利用することに,まったく抵抗がない.
221Bに訪れて,シャーロックに直接
ありもしないコンピューターキーの存在を話したのは驚きだった.
シャーロックはモリアーティに,最後の場面以外で嘘をつく余裕さえない.
人の心がどういうものかに関心がなく,うまく振舞えずに他人とぶつかってばかり,
のシャーロックとは全然違うのである.
シャーロックは(少なくとも以前は)他人に興味が薄く
(それは勿論,心がないということではない)
だからこそ,ゲームを解くのに関係のないところで他人に嘘をつく必要を感じていない(かった).
3.
モリアーティはゲームをしかける.
シャーロックはゲームを解く.
ある意味,モリアーティの方がクリエイティヴで,シャーロックは単にお膳立てされた謎を解いているだけ.
同じ頭の回転の速い設定のマイクロフトが,英国政府を機能させるという彼の定めた彼の物語を遂行しているのに比べても,
シャーロックは他人の掌の中で踊っているだけなのだ.
それは,シャーロックがまだ子供で,ぼんぼんだということでもある.
でも,やっと彼にも守りたいものができつつあるので,
これから何かが変わっていく,のかもしれない.
少なくとも,The Reichenbach Fallの最後で彼が自分の自殺偽装を選んだことは,
自分の意思でモリアーティの物語の結末を書き換えたということだ.
多分,彼の書き換えたかった物語にとって,ジョンへ嘘をつくことは必須だったのだろう.
それは,物語を紡ぎ出す,一世一代の嘘.
彼はモリアーティとは違って,死にたくないのだ.
前にシャーロックのところで,
モリアーティとの駆け引きはシャーロックが生き残ったことで勝った,
と書いたけれど,そう一概には言えないな,と思い直した.
命は長らえたけれど,一時的ではあるだろうが,シャーロックは大切な人たちとの繋がりを失った.
モリアーティからしてみれば,社会的名声を失って,大切な人たちも失って,
シャーロックの生きがいを全て奪われて,それでも生きていることの意味は理解不能だったかもしれない.
(実際,話が続いて欲しいから生きていてほしいけれど,私にもよくわからない.
多分,ここのところのジョンとの生活がとても楽しくて,生きたくなって,
生きていれば挽回のチャンスもある,と考えたのだろうか.)
こう考えてみると,モリアーティの方が純粋でドライで,振り切ったところがある.
sentimentは敗者の化学的反応で,
弱みを持たないモリアーティは,基本的にシャーロックを凌駕している.
だからこそ,シャーロックは,モリアーティに不安を感じていたんだろう.
けれど,最後,死ぬ直前,モリアーティはシャーロックと以下の会話を交わす.
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